相続札幌・今とみらいのコラム

今とみらいの相続に関する所長のコラムです。これまでの豊富な相続業務経験をもとに、お客様のお役に立てるようなコラムを掲載しています。

相続札幌・今とみらいのコラム一覧

養子は相続人?

相続の手続きをするために、司法書士はくさんの戸籍に目を通しています。その中で、まだ家制度があった時代は、兄妹がたくさんいる場合に養子制度が頻繁に利用されていた事が見てとれます。

さて、相続のお手続きをご依頼される際に「兄妹は8人いるけれど、一人は小さい頃に養子に行っているから相続人は7人です。」とおっしゃる方がいらっしゃいます。

養子に行かれた方は生まれた家の戸籍から抜けてしまうので、相続人にはならないかと言うと、実はそうではありません。養子となり戸籍から抜けた方も相続人となります。

たくさんいる兄妹の中の一人が、小さいころに子供のいない親戚のご夫婦のところへ養子に行く、男性が婿養子として結婚相手の女性のお家の戸籍に入る、などのケースが多いですが、例え養子にいくために生まれた家の戸籍から抜けたとしても、法律的な関係がなくなるのかと言えばそうではなく、実の両親が亡くなった際は養子となって戸籍を抜けた方も相続人になりますし、お子様のいない兄妹の相続が起こった際も相続人となります。

相続手続きにおいて、法定相続の場合は相続人の人数で遺産を分配することになりますので、人数を間違うと配分が変わってしまいます。相続人が何人いるのかは全ての戸籍を取得してみなければ実際のところなかなか確定できません。まずはご相談ください。

 

 

2023年06月14日

遺言書をパソコンで作ってはいけません

「遺言書をパソコンで作っても大丈夫」という文言が独り歩きして、自筆証書遺言書の全てをパソコンで作っても大丈夫になったとの誤解が広がっている様です。

それは、平成31年1月に自筆証書遺言の方式に関しての改正があり、法改正の結果、財産目録だけをパソコン等で作っても大丈夫と言うことになった事に対する過大解釈だと思うのですが、繰り返しますが、パソコン等で作って良いのは「財産目録」だけです。

今までは遺言書は全文を自筆で書く必要があり、多数の財産をお持ちの方にとって、財産内容を間違えないように自筆で全部書くのは大変な作業でした。
そこで、手書きが大変な財産目録だけ自筆以外の方法で作って良いことになりました。
自筆以外の方法とは、パソコンでの作成はもちろん、遺言書に不動産謄本や通帳のコピーを添付するだけでもOKになります。

改正後も、これまでどおり財産目録以外の部分は自筆で書く必要があります。
また、自筆以外で作成した財産目録については、単に遺言書にくっつければ良い訳ではなく、それぞれの目録に自筆で署名捺印しなければ効力が無いの注意が必要です。


2023年05月29日

法務局保管の自筆証書遺言書を作ってみた

令和2年7月10日より、法務局での自筆証書遺言書保管制度が始まりました。
その名のとおり法務局で自筆の遺言書を保管してくれる制度です。

このような大きな制度改正があると、司法書士会で研修会が開催されるのですが、コロナの影響で研修会は開催されず、札幌司法書士会から送られてくる資料を読んでもイマイチわかりません。他の司法書士さん達のHP読んでも「自筆証書遺言書保管制度は、公正証書遺言書に比べてトラブルになりやすいので、お勧めできません!」とばかりで、分かったような分からないような・・・。
多くの人がデメリットを強調しますが、この制度にはこれまでになかったメリットがあります。それは、死亡時、関係者に自動的に通知が行く点です。この制度はいずれ戸籍と連動する事になっており、法務局が自動的に戸籍から情報を取得して、遺言者が指定した人に通知してくれるのです。この制度は公正証書遺言書にはありません。


我々専門家にいざという時の事を依頼する方法もあるのですが、数年後、数十年後に依頼した専門家の事務所が存続している保証がないため確実ではありません。
そして、一人暮らしで身寄りの無い方の中には、自分が死亡した時に確実に誰かに知らせて欲しいと思う方もいるはずです。そういった方にとって、この通知制度は良い制度だと思います。


さて、自分は今のところ身寄りが無いわけではないのですが百聞は一見に如かず!という事で、自ら制度を利用してみました。 

この制度は完全予約制。いきなり法務局に行っても相談だけで帰されますので、まず法務局のホームページから予約をしました。
 予約の取れた日時に、予め書いた申請書、遺言書、住民票、手数料(現時点では3900円)などを揃えて持参します。私の場合、申請書に不備があったので、まずその場で書き直し。遺言書についてはその場で書き直しさせてくれるとの事でした。 

ためしに法務局の担当者に遺言の内容に関する話をしてみたところ、やはり「内容については相談できない」との事。(後で、他の司法書士さんと情報交換したところ、どこまで相談に応じてくれるかは、担当者によって少々異なるようです)
「遺言書の書き直しは出来るけど、内容については一切相談できない。」これが、専門家が声を揃えて制度をお勧めしない理由なんだと思います。書き方によってはせっかく作っても無効になってしまうからです。
 そういえば、法務局が確認したのは申請人の住所氏名だけ。貰う人の氏名や生年月日、財産目録の内容などについてはノータッチでした。(※ここを間違うと無効になってしまうのでとても重要!)
 自分でやってみた感想としましては、遺言内容を弁護士や司法書士などの専門家と一緒になって無効にならないよう検討した上で利用するなら良い制度ではないかと思いました。そしてやはり、自分が死亡した際に確実に誰かに通知して欲しい方には、良い制度だと思います。

(手続き後にもらえる保管証)

2023年05月26日